被拘禁者更生支援ネットワーク,麦の会
麦の会は1980年9月1日,死刑廃止を目的に「日本死刑囚会議=麦の会」として結成され,2009年8月1日,「被拘禁者更生支援ネットワーク=麦の会」へと発展的に改名され,事務局を聖ペトロ・パウロ労働宣教会に置くことになりました.
「麦の会」の名前は,1980年,死刑廃止を目的に拘置所の中の5人の未決死刑囚の人たちによって結成,発足メンバーの中にキリスト者がいたため,聖書のヨハネによる福音書12章24節の「はっきり言っておく.一粒の麦は,地に落ちて死ななければ,一粒のままである.だが,死ねば,多くの実を結ぶ.」からとり,会員一人一人が自己犠牲の精神で自ら不利となってでも死刑廃止のための一粒の麦となるという目的をもって命名されました.
死刑問題を閉鎖された世界から解放するために,死刑囚,未決囚,受刑者,獄外者といろいろな人をつなぐネットワークを展開し,死刑問題に加え,更生を目指す者の支援をして犯罪を減らす事,犯罪被害者や御遺族への謝罪をし和解への努力をする事,人間の尊厳や更生を阻害するような行き過ぎた処遇の改善を求める事を目的とし,麦の会通信「和解」を発行しています.また,獄外者に広くご協力を求め,死刑囚の心を支え,獄中者の内面からの真の更生の支えとなるような文通や面会を継続的にして,一人一人の獄中者との人格的なつながりを育む根を張った活動をしています.
2012年は,衆参両院へ「犯罪被害の減少及び受刑者の更生を実現することに関する請願書」,「受刑者の円滑な社会復帰の基盤整備によって再犯減少を実現することに関する請願書」をそれぞれ国会請願書として提出し受理されました.昨年に引き続き,社会構造的な問題への改善努力です.
獄中会員への内面的な支えの一助として書籍・冊子を継続的に,年間で 4000 - 5000冊お届けしています.生き方の方向性が根本的に変わり,生きる支えになったという声が寄せられています.また,死刑廃止・更生支援の補助として「書籍支援コーナー」を開設し,活動の質の向上を図っています.
監獄人権センターに配布の許可を頂いて「社会復帰のためのハンドブック」を配布可能な獄中会員へお届けしました.円滑な社会復帰に向けた現実的な準備を始める一助になればと願っています.感謝の声も多く寄せられています.
獄中会員一人一人に,バースデーカードをお贈りしています.一人一人がそれぞれにかけがえのない尊い存在であるという思いと祈りが込められています.
死刑囚の心の支えや更生支援の一環である文通プロジェクトの目的やルールを明確にする「文通心得」を作り,趣旨に沿って実りある活動内容を生みだし,もう二度と再犯に走らないように,犯罪や死刑という不幸の極みが一件でも減るようにと心から願っています.
死刑廃止を本当に実現するためにまず必要なことは,地味だけれど,日々の学びを重ねつつ自分に向き合い,意見の違う目の前の他者との意見交換や調整をし,一人一人と心をつなげ,より良い社会をつくっていくという粘り強さが欠かせないと考え,麦の会では機関誌「和解」を通し
1300人の読者に問題提起を重ね,対話や意見交換,議論を求めています.上ばかり見ず,まず目の前のことからきっちり向き合って活動しています.
麦の会は当事者を含む皆で心と力を合わせて死刑廃止を目指しています.死刑に直面している方の入会を大募集中です.また,活動を資金面から支えて下さるサポーター(獄外会員),ボランティアスタッフ,文通支援者を大募集しています.死刑問題や更生に関心を持って下さる方,「少しのカンパ」でも「少しの事務」でも「一通の文通支援」でも助かります.ぜひとも,まずはお気軽にご連絡ください.
(麦の会事務局)